Sustainability サステナビリティについて

1.はじめに:
ACR「サステナビリティ」が
めざすもの

2024年10月1日、私たちアライドコーヒーロースターズ㈱(以下アライドコーヒー)は、石光グループである東京アライドコーヒーロースターズ㈱(以下東京アライド)と関西アライドコーヒーロースターズ㈱(以下関西アライド)の合併により誕生いたしました。工業用原料に強い東京アライドと家庭用小売商品に強い関西アライドは、異なる事業分野を経営統合することの合理化、相乗効果の創出で大きなメリット生むと考えています。しかし日本の人口動態・消費構造、世界のコーヒー需給バランスの変化を受け、決してコーヒー産業が有望な市場ではないと判断しています。このため私たちは持続可能な経営を行うため、経営資源の有効化、革新的な発想による新たなビジネスの構築によって「サステナビリティ」を達成したいと考えています。

コーヒー事業では、「コーヒー2050年問題」が非常に有名です。地球温暖化による気候変動で、世界的にコーヒー栽培地が減少し、2050年までにコーヒー生産が大幅に減少する可能性を指すというものです。この「コーヒー2050年問題」を品質の視点で見てみますと、気温上昇で各地の品質差は小さくなるでしょうし、生産側から見ると売り手市場で高値での取引が予想されるでしょう。つまりこれまでの様においしいコーヒーは大幅に減り、金を支払っても買えないコーヒーが出現する可能性があるということです。ここが「コーヒー2050年問題」の本質であり、私たちの「サステナビリティ」とは、様々な角度で物事を捉え、長期視点でリスクを減らしていくことを目指します。

「サステナビリティ」は、産地、我々、抽出して頂ける工場・カフェ・家庭、消費者がつながることで生まれるものです。ここには環境や人権、社会など様々な課題が存在しており、その課題の1つ1つを解決することで、長くコーヒーを楽しんでいただける社会を創っていきたいと考えています。末永くコーヒーを楽しんでいける社会を創ることこそが、私たちアライドコーヒーの「サステナビリティ」がめざすものです。


2.「サステナビリティ」とは

私たちアライドコーヒーは、「サステナビリティ」を「社会性と経済性の双方を持ちあい、全てのステークホルダーが持続可能になること」と定義付けています。この中で社会性とは、環境、人権、社会を含む人々の生活やその周りに付帯する項目の課題解決を指し、経済性とは企業としての収益性を意味します。つまり私たちにとっての「サステナビリティ」とは、コーヒーの生産、加工、消費に関わる全ての人々の社会課題を解決する仕組みを持った商品開発を進め、同時に収益性を高めながら経営をすることをなります。

私たちが扱うコーヒーは、農作物であるため「自然資本」と呼ばれ、今後の環境変化により「コーヒー2050年問題」などが注目されています。また地政学上、山林を開墾して農地化した歴史的背景がある地域を含み、SBT FLAG 等の対応が必要な商品と考えています。またカカオ、茶と並んで人権問題の多い地域で生産しているため、ILO (国際労働機関)から絶えず指摘を受ける農作物の1つでもあり、こうした環境変化の影響、過去の自然破壊、人権問題を抱えた原料の利用を考える必要があると思っています。

私たちが掲げる「人と自然に優しい、コーヒー業界有数の生産量を誇る企業となる」には、多くの人が関わって頂き目的を達成しています。これを次世代、次々世代…と繋ぐため、「サステナビリティ」を重視しながら次のコーヒーでの感動を生む仕掛けを創っていきます。


3.アライドコーヒー
「サステナビリティ」のテーマ

私たちアライドコーヒーの「サステナビリティ」は石光グループの設定するグループ「サステナビリティ方針」を基礎としています。この中で「サステナビリティ」のテーマを3つ設定し、「環境」「人権」「社会」としています。ここには前述のように、コーヒーが持つ課題を3つの切り口で解決しながら経済性を高める狙いを持っており、様々な角度で課題解決に努めるようにしています。

グループサステナビリティ方針

石光商事グループでは、「環境方針」(2022年4月制定)を改め、2023年5月にグループ「サステナビリティ方針」を制定いたしました。グループ「サステナビリティ方針」は、従来の「環境方針」に加えて「社会」「人権」に対する方針を加え、地域社会や人権を含めた環境保全と産業発展の共存に力を注ぎ、持続可能な社会を目指すとしています。脱炭素社会の実現に向けた環境施策の構築やエネルギー利活用、資源循環社会に向けたサーキュラーエコノミーへの取組み、地球環境保全、生物多様性保全など様々な項目の方針はもとより、長期的な視野を持って「サステナビリティ方針」を実行します。


「サステナビリティ方針」基本理念

石光グループ各社は、原料調達から消費までのバリューチェーンを構成する世界のパートナー企業やステークホルダーと共に、「環境」「人権」「社会」の課題をマテリアリティとして、持続可能な社会を実現するため事業を通じて貢献します。そしてそれらを開示することで、ステークホルダー、社会との相互理解に努めます。

1.環境法令遵守

  • 法令遵守 事業展開する国と地域の環境保全や人権に関する法規制、国際的宣言、規約、条約などを遵守する。

2.脱炭素社会への取組

  • 気候変動対策 脱炭素社会に向けた温室効果ガス排出削減策として、再生可能エネルギーの利活用、エネルギー効率化、再生エネルギー創電を世界のパートナー企業と共に促進し、気候変動に貢献する商品の開発に努める。
  • 温室効果ガス排出削減 メタネーション、再生可能エネルギーの利用など環境負荷の小さなエネルギー利用への転換を促進し、温室効果ガス削減目標に準じた推進に務める。

3.循環型社会と環境汚染予防への取組

  • 資源循環推進 限りある資源の効率利用、廃棄物の削減に加え、廃棄物の新たな資源化を推進し、資源循環に努める。
  • 環境汚染防⽌と環境保護 世界のパートナー企業やステークホルダーと共にあらゆる施策を通じ、水・大気・土壌などの環境汚染予防のために適切な活動を行い、地球環境保全に努める。

4.自然共生社会への取組

  • 生態系保全・生物多様性保護 世界のパートナー企業と共に生態系保全に努め、生物多様性への理解を深めることを目指す。
  • 水資源の保全 世界のパートナー企業と共に水資源の有効利用に努め、使用量削減、適切な処理を目指す。

5.環境教育推進とサスティナビリティ
マネジメントシステムの継続的改善

  • 環境教育推進 世界のパートナー企業、ステークホルダーと共に、環境課題、解決方法の共有を行い、人材育成と共に意識の醸成に努める。
  • サスティナビリティマネジメントシステムによる継続的改善 環境・社会・人権における自社の課題を抽出し、サステナビリティマネージメントの手法により、課題解決を図り、継続的見直しと改善に努める。

6.地域社会貢献への取組

  • 地域との共生 地域社会を含むステークホルダーと共に社会課題を抽出し、解決策を導き、持続可能な社会構築に取り組む。

7.人権を尊重する社会構築 

  • 人権と多様性の尊重 世界のパートナー企業、ステークホルダーと共に多様な社会形成に努め、包括的社会の実現に向けて取り組む。

4.「サステナビリティ」管理項目と方針

私たちアライドコーヒーは、「人と自然に優しい、コーヒー業界有数の生産量を誇る企業」「全体最適化の追求」をスローガンに、ひとりひとりが考え、判断し、行動する組織を目指します。この中で「サステナビリティ」を「環境」「人権」「社会」の3つに分けて対策を取っていきます。なお管理項目の記載事項は、それぞれ目標を設定し、施策の結果を管理することでPDCAが回るよう進めます。

【環境】

自然資本であるコーヒーの焙煎加工を生業とし、SBTに準じた環境に配慮した社会的商品価値の創造を行います。2050年CN(カーボンニュートラル)を目指し、あらゆる資源の効率化、削減策を講じた商品開発を進めます。加えて省エネ、メタネーション、創エネをサプライチェーンで創造し、新たな環境対策商品によって実現します。

方 針
2050年CNにむけた脱炭素経営の実現
管理項目
温室効果ガス削減 ゴミ削減・ゼロ化 燃料削減・メタネーションの導入促進 環境教育の改善 生物保護 水資源保全

【人権】

持続可能なコーヒー生産の実現を目指し、 サプライチェーンを通じた人権対策を進めます。2030年までに自社ブランド商品のサステナビリティ化を進め、 「石光グループ サステナビリティ・コーヒー基準」などへ100%切り替えをします。多様な人材が活躍できる職場環境の整備を進め、社員の働きがい向上を推進します。

方 針
生産地・社内を中心としたサプライチェーンでの人権対策を進める。
管理項目
働きがい向上 男女賃金格差の縮小 女性管理職比率向上 人権対策原料導入 障がい者雇用促進 人権教育の導入

【社会】

私たちが目指すコーヒーのサステナビリティでは、社会は1つの大きなテーマとなっています。持続可能な社会の実現に向け、コーヒー産地の社会、コーヒー製造の社会、コーヒー消費の社会に対し社会インパクトを重視し、いつまでも美味しいコーヒーが飲める実現と、コーヒーによって生まれる幸せの追及を行います。

方 針
ステークホルダーの多様な方々が安心して生活できる社会への参画
管理項目
社会テーマ原料の導入 社会関係との対話向上 地域コミュニケーションとの交流 近隣住民雇用創出貢献 商品提供・寄付

5. さいごに

コーヒーは歴史的に南北問題といった人権を含み、今では地球温暖化の影響をうける代表格として扱われています。つまりコーヒーは時代と共に様々な社会課題と向き合う必要がある作物で、今後おいしいコーヒーを提供するために「サステナビリティ」は重要な要素となり得ると考えています。私たちアライドコーヒーは、石光グループとして、「科学に基づいた農業ソリューションを推進し、現在および将来の世代のために多様で持続可能な高品質のコーヒーを緊急確保する」という使命で設立されたWorld Coffee Research などの活動支援を含め、様々な視点で環境に向き合うようにしています。

「コーヒー2050年問題」にもあるように、将来的に世界のコーヒー生産量は減少していくでしょう。これに対して何を目標として、どの様な策を講じ、それをビジネスに昇華させて維持し続けるのか…。社会が私たちに求めるビジネスモデル変革は、「サステナブル」でなくてはならないと考えます。

森林、土地、農業 – Science Based Targets Initiative(科学的根拠に基づく目標イニシアチブ)
日本 | International Labour Organization (ilo.org)
世界のコーヒー研究 |コーヒーの未来を確かなものにする。 (worldcoffeeresearch.org)